整備工場の看板現場から見える、デザイナーの「メニュー設計」
看板はきれいなロゴを載せるだけではない。通りから「何屋か」と「何ができるか」を、同時に設計する情報の仕事だ。
※すでにデザインの仕事で収入を得ているフリーランスの方に向けて書いています。
整備工場の外観は、開いていても通りから「何屋か」が読めないことがある。
中では車検も整備も保険相談もできるのに、外からは工場の箱に見える。入口まわりの表記がバラバラなら、初めての来店の判断材料が足りない。
ぼくが現場で見てきた、このタイプの相談は「看板をきれいにしたい」より先に、「何ができる店か分からない」が来る。
現場で見たこと——情報の優先順位
整備はできるのに、外からは工場に見える。——そのギャップが、看板の仕事になる。
大阪市城東区の自動車整備工場では、正面上部に横長のファサードサインを設置した。社名の横に、車検・整備・保険のメニューを黄色の帯で並べ、走行中でも業種と提供範囲が読めるサイズに整えている。
入口の上には壁面パネルを追加。ファサードと同系色で、近距離からもメニューが途切れない。遠くから「整備工場」、近づいて「具体的に何ができるか」と、距離ごとに読める情報を分けた。
Webのバナーならクリック後に説明できる。看板は、その場で説明しきらないといけない。だから文字の優先順位——何を大きく、何を横に並べ、何を入口付近に置くか——がデザインの中心になる。
デザイナーにとっての構造
この現場でデザイナーが担うのは、ロゴを載せることだけではない。
視認距離を想定した文字サイズ、メニューの並べ方、配色の役割分担、施工できる出幅との調整——Illustratorで組んできた「視線の流れ」が、そのまま街の看板に移る。
相談も「似た案を3社に」より、「通りからどう見えるか」から入りやすい。画面の中だけの比較合戦から、外の顔づくりの相談へ土俵がずれる。
詳しい手順はここでは書かない。先に必要なのは、自分のスキルが「メニュー設計」まで含む仕事に使える、という事実を見ることだ。
あわせて読む
- 看板デザイナーという選択(本編)
- 看板デザインの仕事と単価 — 相談のされ方と土俵の違い
よくある質問
整備工場の看板で、デザイナーが設計するのは見た目だけか
見た目だけではない。何を通りに向けて載せるか、文字の優先順位、遠距離と近距離の両方で読める配置——情報設計が中心になる。施工の細部は職人と連携する。
メニューが多い業種ほど、看板デザインの仕事は難しくなるか
載せたい情報が増えるほど、取捨選択とサイズ設計の比重が上がる。だからこそ、テンプレの差し替えだけでは足りない相談になりやすい。
今のIllustratorスキルで、こういう現場案件に関われるか
字間・行間・視線誘導を組んできた経験は、そのまま看板の情報設計に使える。変わるのは納品がデータだけで終わらず、街に立つこと。施工は別途連携する。